第1章 プロローグ

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2010年4月2日深夜1時。 〝あれ?…ここはどこだろう?〟 気がつけば私は、暗闇の中にいた。 〝真っ暗で何も見えない…〟 ただ、その先に言い知れぬ何かがいる様な… そんな予感がしていた。 〝あっちに行ってはだめだ!引き返そう。〟 そう思い、私は振り返る。 だが、そこに広がる世界も闇。 闇に前後などない。 完全に方向を見失ってしまった。 その為、身動き一つ出来ずに、ただ恐怖を淡々に受け続けるしかなく、その恐怖心はピークを迎える。 「いっ!いやぁっ!!」 闇の中を悲鳴がただ静かに響き渡る。 何もかもを吸い込んでしまいそうな暗闇を前に、人は太刀打ちなどできない。 弥生は、腰が抜け、その場に座り込んでしまった。 「ウッグッ…私…一体… ここは何処よ!!」 「う…グルル……」 「えっ………?」 闇の中から、獣の様な何かが唸る声が聞こえ、ふと視線を向ける。 だが、暗闇の中では、その姿を捉える事が出来ない。 ただ、その奥に何かがいる。 それも得体の知れない何かが… それだけが解る。 「えっ?なんなの!? ねぇ……。何がいるの!? ガッ!?ハーヒィ…ハーヒィ! グッ……」 恐怖のあまり、過呼吸になったのか、息がつまり、まともに呼吸ができない。 た…た…た…と二足歩行で歩いてくる足音が聞こえてきた。 〝近づいてくる!?〟
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