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月曜日の朝。駅のホームには何時もと同じ時間に電車が滑り込んで来る。何も変わらない日常の、そんな風景に俺、沢田博史は軽い目眩を覚えた。
(何か面白え事ないかなあ……)
「おっす。何シケた面してんだ?ヒロ」
「渉か…」
ボーッとしながら電車に乗り込もうとした俺は、背後から肩を叩かれた。振り返ると、幼馴染みの安原渉がひらひらと手を振っていた。
「遅刻の連続記録更新中な渉にしちゃ、早い時間なんじゃねぇの?」
「まぁな。オレだって珍しく早起きする事があるんだぜ」
―――おかしい。基本的にぐうたらな性格の渉が早起きなんて、保育園時代から11年間の付き合いの俺でさえ遭遇した事の無い事態だ。これに絡んで来る項目としては、2つある。
まず1つ目は、連続で遅刻をし過ぎて留年通告をされた。…それと、2つ目は――…、まあ、アレだ。彼女か好きな子が出来たかってトコだな。
「分かったよ。理由は話すから、そんな冷ややかな目でオレを見ないでくれよ」 「俺…、まだ何も言ってないぜ?」
渉は、俺の脇腹を肘で小突いて照れくさそうにしている。その様子で、後者の理由に当て嵌める。
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