始まりの朝

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「…それで、昨日の帰りに丁度、見掛けたんです。渚ちゃんの家の前を通って行くのを…」  ここまで来れば、流石の俺でも理解出来る。要は渚の護衛を頼みたかったのだ。 「物凄く、厚かましいとは思うんですけど、一緒に登下校をして貰えたらなって思って…」  渚を庇って、眼鏡っ子にしては勇気を振り絞っただろうと思える程の嘆願をした。…まあ、俺の決意は既に固まっていたが。 「今日から二人で迎えに行くから。俺、沢田博史。コイツは幼馴染みの安原渉」          事の成り行きを茫然と見ていた渉を引き合いに出しながら自己紹介をした。 「二人って、オレも?」 「当たり前だろ?どうせ隣近所なんだし」  すると、眼鏡っ子と渚の表情が明るくなった。 「ありがとうございます」    二人同時に深々と頭を下げる。何て言うか…悪い気はしなかった。  彼女達の通う学校は俺達が登校する際、通り沿いに位置してぃるので駅を出てまずは彼女達を学校に送り届けた。別れる時に下校時刻の確認と待ち合わせの場所を決めて俺達は一路学校へと急いだ。
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