4*

19/39
6395人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
「わたし……っ 」 そんな所に並んだりしたら、理紫になんて言われるか……。 理紫の態度を容易に想像することが出来て、海月はぷるぷると首を振る。 ……だめっ! きっと、からかわれて、苛められるっ! 「並んでる時、その会報誌見せてね? 」 「ナナ、さんっ、あの、あのねっ 」 切れる息に、焦りが混じって声がもつれる。 けれど、次にナナの口から出た言葉は、それ以上に海月の声を詰まらせた。 「あっ、ミツキ。言っとくけど、ウチ達、《友達》になったからには、抜け駆けは禁止だから 」 「……っ!? 」 「うわっ! あの列じゃない? すごい! もうあんなに並んでる! 」 低くなった声音は、次の瞬間には何事もなかったように元に戻っていた。 しかし、固まった思考は、海月の背中に冷たい何かを走らせる。 幾つもの列の中で理紫の列を確かめると、はぁはぁと全員、肩で息をしながら、列の最後尾に並んだ。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!