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「わたし……っ 」
そんな所に並んだりしたら、理紫になんて言われるか……。
理紫の態度を容易に想像することが出来て、海月はぷるぷると首を振る。
……だめっ! きっと、からかわれて、苛められるっ!
「並んでる時、その会報誌見せてね? 」
「ナナ、さんっ、あの、あのねっ 」
切れる息に、焦りが混じって声がもつれる。
けれど、次にナナの口から出た言葉は、それ以上に海月の声を詰まらせた。
「あっ、ミツキ。言っとくけど、ウチ達、《友達》になったからには、抜け駆けは禁止だから 」
「……っ!? 」
「うわっ! あの列じゃない? すごい! もうあんなに並んでる! 」
低くなった声音は、次の瞬間には何事もなかったように元に戻っていた。
しかし、固まった思考は、海月の背中に冷たい何かを走らせる。
幾つもの列の中で理紫の列を確かめると、はぁはぁと全員、肩で息をしながら、列の最後尾に並んだ。
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