見事陥落

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「蓮?お水、飲む?」 ソファに座った彼は長い脚を存分に投げ出して。 だらりと頭を背もたれに預ける。 「んー、」 その返事にちょっと笑って、私はコップにお水を用意した。 「ハイ、蓮。お水だよ。ちゃんと飲んで?」 「んー……とも、飲ませて」 「飲ませてって……もう。ほら、こぼさないように、」 言いながらコップを彼の方へ持っていけば。 「ちがうでしょー」 蓮はそう言って文字通り頬を膨らませた。 蓮、かわいい 膨らんだ頬に笑って、いつもならカッコイイのに、こういう時はかわいいなぁなんて目元が緩む。 「とも、飲ませてー」 そう言って、口をちゅーの形にする。 「ええと……蓮さん?」 「とも、はやくー。俺待ってる」 「待ってるって、」 「俺がこうやったら口うつしのサインでしょー」 いやいやいやいや、そんなサイン、知りません! 思いっきり口尖らせるとか、可愛いけど! 私がやるかやるまいかと躊躇しているうちに、 蓮は私の手からコップをひょいと取り上げて、グイッと一口煽った。 「……えっ、んーーー!!!」 間髪いれずに両手で顔を挟まれて。 流し込まれたソレにごくりと喉を動かした。
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