番外編⑫ **ほんの少しだけ未来の話**

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エンジンは切らずに路肩に一時停車した車内で、千裕さんは私を真っ直ぐに見つめて来る いつになく真剣な表情の千裕さんに、私の頭と心は益々混乱してしまう 一体どうしたって言うの? 千裕さんに何が起こってるの? 全く理由がわからずにただ黙って千裕さんの視線を受け止めていると、急にフイっと視線を逸らされてしまった (……え……?目、逸らされた……?) いつもなら目を逸らすなんてしないのに…… いつだって自信たっぷりに見つめ返してくるのに…… 何もかもが千裕さんらしくない行動に、一気に不安が募ってくる こうなってしまうともう悪い事しか考えられなくなってしまう 本当は仕事復帰なんてとんでもない そこまで重要な仕事なんてしてなかっただろ 物は試しに言ってはみたけどまさか本気で復帰するとは思ってなかった 自分の子供親に預けて仕事するなんて育児放棄なんじゃないか、見損なったよ…… 普通に考えれば千裕さんがそんな事思う訳ないのに、今の私は被害妄想やら負のオーラで頭も心もやられてしまっているみたいだ ハァ……困ったな、どうしよう…… そう思っていたその時 「ごめん、心が狭くて……」 ふとそんな言葉が聞こえて来た 「え……?」 心が狭くて……って、千裕さん何の事言ってるの? わからないよ……お願い、ちゃんと話して 「あの……千裕さん 私、サッパリ意味が……あっ……」 言い終わらないうちに千裕さんが私の右手を取り強く握りしめてくる 「……わからない?」 そう囁いた千裕さんの声はいつもよりも低く掠れていてキュッと胸が苦しくなる 思わず強く握り返すと、千裕さんは一度手の力を緩め、私の想いに応える様にしっかりと指を絡ませて来た
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