ep.01

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霊安室に向かう寝台から視線が外せない。 俺が、俺自身で体を動かせない。何かに掴まれて動けない。目を閉じることも… 「助けてくれ」その言葉さえ出せない。大声で叫んでも口から洩れるのはかすかな息だけ。 霊安室に向かって進む看護師越しに寝台が見える。その寝台から何かがこぼれ落ちた。 看護師たちは何も気づかないのかそのまま進む。 こぼれ落ちた塊は、もぞもぞと動き膨らんだり縮んだりを繰り返す。 廊下の先で寝台と看護師たちが扉の中に消える。 うごめく塊が見慣れた形に姿を変える。その姿は大きな嘴と濡れたように艶を持つ羽毛に包まれた姿。 2、3歩勢いをつけるとこちらに向かい突っ込んでくる。 鳴き声一つあげず羽ばたきながらカラスがこちらに飛んでくる。  
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