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「蓉子さんが突然私に仰ったんです。
『春海さんの心をつかむ協力ならしてあげるわよ』って……。
それで、私は今まで蓉子さんの指示に従って行動して来たまでです。もう少しだと思っていたのに、駆け落ちだなんて冗談じゃない」
チッと舌打ちする瞳子。
すべてが信じられずに、春海が何も言えずにいると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
「――瞳子さん、私のことまで暴露しなくてもよろしかったのに。
やっぱり、下賎な者はボロが出ますわねぇ」
月明かりの下、現れた蓉子に、
「よ、蓉子様」
瞳子は目に見えて分かるほどにガクガクと震えた。
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