裏側の悪意-2

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芹沢さんがそう言いながら、ハンドルを回して車を路肩に寄せる。 窓の外をみると、そこは既に亨のマンションの目の前の道だった。 「そう、ですよね」 芹沢さんの言う通りだ。 少しでも早く帰ろうと、頑張ってくれている。 だから明日、顔を見たらきっと全部元に戻る。 大きく深呼吸し気分を入れ換えると膝のバッグの持ち手を握り、運転席に向かって頭を下げた。 「ほんとに、ありがとうございました。美佳はどうする?」 「私は今日は家に帰るわよ」 美佳と私は互いにバイバイと手を振りあう。 芹沢さんが後ろを振り向き、私達を交互に見ながら言った。 「ああ、そうだ。僕は来週には、地元に戻るから」
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