1243人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
芹沢さんがそう言いながら、ハンドルを回して車を路肩に寄せる。
窓の外をみると、そこは既に亨のマンションの目の前の道だった。
「そう、ですよね」
芹沢さんの言う通りだ。
少しでも早く帰ろうと、頑張ってくれている。
だから明日、顔を見たらきっと全部元に戻る。
大きく深呼吸し気分を入れ換えると膝のバッグの持ち手を握り、運転席に向かって頭を下げた。
「ほんとに、ありがとうございました。美佳はどうする?」
「私は今日は家に帰るわよ」
美佳と私は互いにバイバイと手を振りあう。
芹沢さんが後ろを振り向き、私達を交互に見ながら言った。
「ああ、そうだ。僕は来週には、地元に戻るから」
最初のコメントを投稿しよう!