嘘はかろやかに

9/22
11740人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「うん……。彼も、彼の家族も家に入った方がいいって言うし」 「ふーん、今どき古風だね」 「海外への赴任もあり得るし、まあ……その時にバタバタするよりは、ね」 「そっか、一流商社だもんね。収入も問題なしか」 「そうかもね。私の稼ぎは当てにしてないって感じ」 優香は小さく笑った。 笑ってビールを喉に流す。 「優香が生って、珍しいね」 いつも生ビールでスタートする私とは違い、彼女はまずサワーを注文する。 あまりお酒には強くないのでそれをゆっくりなペースで飲んでいくのだ。 私はその間にビール三杯は済ませている。 そんな彼女が今日は珍しく生ビールのグラスを手にしていた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!