嘘はかろやかに

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「でもさ、『デキる女』って……誉め言葉?」 私はテーブルに肘を付いた。 「当り前じゃない。私、そんな風に言われたことないもん。一度でいいから言われてみたい」 「ふーん、そういうものかな。私も最初はうれしかったんだけど……」 確かに最初は誉め言葉だった。 しかし、最近ではそれを素直に受け止められず、複雑な気持ちになるのだ。 私にはそれしか褒めるところがないのかもしれない、と。 たとえ、優香がそれを言われたことがないのだとしても、 彼女は他にたくさん誉め言葉をもらっているはずだ。 『優しい』とか 『可愛い』とか 『綺麗だね』……とか。 女であることを たくさん褒めてもらっているはずだ。 そう思うと…… 合点がいく。 「でも、『デキる女』が進化すると、『オヤジ』になるんだよ?」
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