嘘はかろやかに

14/22
11740人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「オヤジ?」 優香は眉間に深い溝を作りながら顔をしかめた。 「そう、オヤジ」 「どういうこと?」 「言われたのよ、今日。『オヤジ』って」 「誰がそんなこと……」 「職場の同僚。デザイナーなんだけど、口が悪いのよ」 「何でオヤジなの? 美尋、綺麗でオシャレなのに」 「髭が見えるらしいよ」 私は鼻の下を伸ばして優香に見せた。 彼女は私に顔を近づけて、目を凝らして髭を探した。 「ないけどね」 私は彼女に微笑み、鼻の下を撫でた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!