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「オヤジ?」
優香は眉間に深い溝を作りながら顔をしかめた。
「そう、オヤジ」
「どういうこと?」
「言われたのよ、今日。『オヤジ』って」
「誰がそんなこと……」
「職場の同僚。デザイナーなんだけど、口が悪いのよ」
「何でオヤジなの? 美尋、綺麗でオシャレなのに」
「髭が見えるらしいよ」
私は鼻の下を伸ばして優香に見せた。
彼女は私に顔を近づけて、目を凝らして髭を探した。
「ないけどね」
私は彼女に微笑み、鼻の下を撫でた。
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