prologue

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どうしようと何度悩んでも、頭がふたつみっつ増えることなんかない。 ひとつの頭で考えなきゃ務まらない。 例えば、男の人とやらしーことしてる時、頭がふたつみっつ欲しいと思う。 まず、今日の夕食メニューじゃん? あと、仕事じゃん? あと、予備。 その人のことを考えたくはない。そんな頭は逆にいらないよ。 ああ、お月さんよ。私頭がふたつみっつ欲しいんだよ。 どうすればいいよ。欲しいんだよ。もめちゃくちゃ欲しいよ。 空を見上げながら、ぼわりと光る月に問いかける。 頭がふたつみっつあったらホラーだけどね。怖いね。どーなるんだ見た目。化け物? 「何してんだ」 隣でタバコを吸う月君が呼んでくる。 年下だけど色々あってタメ語。乱暴だけどね口調。 ねぇ月君。人に嫌われるよそんなんじゃ。 「んとね、月見てた。あ、君じゃないよ?」 「あー、そうだよな。一瞬ビビった」 「でしょ。ビビったんだろうな、って思った。フフフッ」 「お見通しかよ」 フッと笑う月君は、友達です。 大事な友達です。
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