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彼は土手を登りきったあと、塀に掴まりながら大島に背負っていたリュックサックを渡し、中に荷物と一緒に放り込まれていた赤ん坊と猫をみんな皆に紹介する。
「俺の従兄弟の五六と飼い猫の四です、リュックの中にオムツと粉ミルク、それにキャットフードと猫缶入ってます」
その後ゾンビに噛まれた腕を見せ。
「俺、奴らに噛まれたから中に入れません、こいつらお願いします」
そう告げると皆が引き止めるのを無視して土手を滑り落ちて行き、元来た方向に向かって走り戻って行く。
リュックの中では今生の別れがわかったのか、赤ん坊が火が付いたように泣き出していた。
そんな事を思い出していると、大島が厚手の防寒着を着て屋上に上がって来て、監視の交代を告げる。
「先輩交代です、本格的な雪になりそうですね?」
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