序章

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地下鉄安孫子駅___。 その日、安孫子町はいつもと様子が違っていた。 普段は会社帰りのサラリーマンで賑わう夜の町にはスーツやら袴を着崩した若者で溢れかえっていた。 近くの公立大学で卒業式が行われたのだ。 勿論若者たちの目的は卒業祝いだ。 これから会社の歯車となって身を粉にして働いて行かねばならない彼らにとって、何をしても多少大目に見てもらえる学生気分最後の夜だった。彼らとしては最後の一滴まで楽しみたい。そんなところだった。 その為か都心部から少し離れたその町では居酒屋、カラオケボックス、ボーリング場、ゲームセンターなどは彼等を収容するだけで一杯一杯だった。 そんな中の一つである居酒屋『しろひげ』の前には救急車が一台止まっていた。午前二時頃だった。
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