第1章ープロローグー

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 少年は諦めなかった。この世界では「可愛い子には旅をさせろ」ということで10歳の誕生日の時に好きな所に一か月短期留学的なものをさせる制度がある。 留学と言っても子供にさせることなので、まあ目的は違う世界を肌で体験する程度だある。しかし、少年はこれを本当に学ぶ場と考えた。他の子は「妖精の世界」「聖獣の世界」「ドラゴンの世界」などに行くなか少年一人だけが「科学の世界」に留学することにした。魔法がある世界は科学なんて力が無くても魔法で事足りる上に簡単かつ便利なので行きたい人は過去一人もいなかった。しかし、少年は行きたがった。   科学の世界は知識においては何処よりも発達していた。他の世界が圧倒的な力を持っているのにも関わらず滅ぶことが無かったのは知力の高さが故にである。  力がある世界に居ながら少年は凡人が故に「力には限界がある。」事に齢10にして身をもって理解してしまった。そして、「知識には限界がない。」という事にも気づいていた。少年もまた違った種類の天才だった。いや、天才というよりも英才だろう。大人の悪意に晒され幼いながら考え戦い続けた少年の努力は無駄では無かった。
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