危険な夜

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な、何!?この気持ち悪い感覚! 背後から……いや、色んな所から感じる。 これは、私を襲った悪霊と遭遇した時と同じような悪寒。 まさかと思い、チラリと後ろを振り返って見ると……。 「ひっ!」 怒りと恨みに満ちたような醜悪な顔で、蜘蛛のように地面を這って、あの悪霊が私達を追い掛けて来ていたのだ。 ペタペタペタペタと、高速で手足を動かして迫って来る! 「な、なんで!?人形は置いて来たのに……西尾さん!悪霊が追い掛けて来てる!」 「嘘だろ!?こんな時に……って、ああっ!トンファー忘れたっ!」 それでも、警棒はベルトに装着したままのようで、素早くそれを抜くと、軽く振って伸ばした。 速度を落として、私と併走する西尾さん。 だけど悪霊の動きは予想以上に速くて……再び振り返った時には、もう、手を伸ばせば私を捕まえられる場所まで接近していた。 「に、西尾さんっ!!」 迫る凶悪な悪寒に恐怖した私は、思わず声を上げてしまったけど……不思議な事に悪霊は、私達を避けるように、西尾さんの隣に並んで走り続けたのだ。
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