いつもの光景

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ここはどこだっけ? 自分は誰だっけ? 何で足が痛いんだ? 何で腕が動かないんだ? 自分に何が起こってるのかわからない。 目の前にはまるで神話に出てくるような巨大なオオカミのような犬のような魔物。 何で俺こんなのと戦ってるんだろう? こんなのと戦うぐらいならいつもの俺なら逃げてるのに。 ・・・・・・ あぁ、そうだった。 護るんだった。 時間を稼がなきゃいけなかったんだ。 あいつらが逃げるために。 仕方ない、もう少しだけ頑張ってみようか。 えっと、俺の銃どこだっけ。 あ、弾切れたから捨てたんだ。 じゃあ毒を塗った矢と弓は....。 あ、攻撃避けきれず折られたんだった。 うーん、俺のナイフは....。 あ、これは問題ないな。 よーし、行くかー。って、足が動かねえよ。 ちくしょう。ワイヤー使って移動するしかないか....。 「ゴルルルルル.....。」 あ、今こいつ勝ち誇った顔したな? ふざけんな。ぶっ殺してやる。 ....の前にどっかで装備の確認しないと。 どの装備が使えるかチェックしないと戦いにすらなんないや。 森というには暗い木々の中。 森の主は一人の男にトドメを刺そうとする。 伝説に残る男がいた。 別段外見が美しいとかではなく、聖人のような性格でもなかった。 その男の伝説は単純。 たった3人の仲間を生かすために様々な無理を乗り越えてきた。 無理、といっても人によっては挑もうとすら考えないような無茶。 封印が解けた伝説の化け物を倒すだとか。 国を一つ相手することや。 神と戦うことだったり。 あまりにもスケールの大きく、そして、馬鹿げている話。 これは、そんな独りの男の話。 報われない、しかしそれで満足した男の話。
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