第1章

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四月のある晴れた日、家の窓を開け放つとそこから、さわやかな風が入ってきます。 窓の外には、一面の黄色く色づいた、菜の花畑が広がっているのが見えます。 菜の花の香りが、その部屋の住人である。みゆきの鼻を優しく、くすぐっています。 耳を澄ますと、何かの羽音が聞こえてきました。目を凝らし、よーく見てみると、ミツバチでした。 ブーンブーンと羽音を響かせながら、菜の花の蜜を集めていました。 みゆきは、この光景がとても大好きだった。心がうきうきしてくるからだ。 時折り、家の中にミツバチが入ってくる。とブーン、ブーンって、私の周りを飛んだ後部屋を出ていくのです。 どうしてだろう。私に、何か言いたいことがあるのかなあ。迷子になっちゃたのかな・・・。 と考えをめぐらしている時、ふと小さい時のことを思い出しました。 (そういえば、小さい頃、田舎の土手で、段ボールのそりをすべらせてよく遊んだっけ。 土手の下は、一面レンゲ畑でとってもきれいだったなあ。その中をそりが滑るとレンゲの花の香りがして、最高に気持ちよかった。 そうだわ、ミツバチもよく飛んでいたわね。そりで滑った先にミツバチがいると、ミツバチをびっくりさせてしっまって、よくおいかけられた事があったわ。
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