言えない理由

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北川高校の受験を終えて帰省した私は、いつも通りの日常を送っていた。 今朝、北川高校から合格通知の書類が届いて、ここ最近の緊張の糸がやっと切れた気がした。 「美桜、おはよ!」 「大和、おはよー!」 いつものように私のアパート前で大和と待ち合わせをしてから一緒に登校する。 大和と歩きながら辺りの風景を改めて眺めてみると私の住む地元は田舎だな、と今更ながら思う。 都会みたいに高いビルなんてまるでないし、山と田んぼに囲まれている。 でも私は、自然豊かなこの町が好き。 空気は澄んでいておいしいし、晴れた日の夜は星が綺麗だから。 「ってかお前さ、朝っぱらから合格したとかいちいちメールで報告してくんなよ」 「いいじゃん!ほんとは気になってたくせに」 「…っ、うるせーな」 図星だったらしく大和は、ばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「あのさ、大和はどこの高校を受験したの?」 なんだかんだ忙しくて大和がどこの高校を受験したのか聞いてなかった。 真央は地元の高校を受験したってメールが送られてきて、明日合格発表らしい。
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