あらすじ

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 生肉を貪るのが趣味の女・京子と、学生時代の京子の先輩であり、同じ嗜好を持つ由美。二人とも、新鮮な肉のためなら生き物を殺すのにも躊躇いがなかった。しかし生きた食材がなかなか手に入らず、不満を漏らす京子。すると由美はそんな京子を、とある店に食事に誘う。  京子が連れて行かれたのは、廃ビルの地下に隠れて存在する謎の店だった。血の香の漂う店内で、回転寿司屋を思わせるコンベアに乗っていたのは生の肉。店は様々な動物の肉を生きたまま削いで客に出す、回転肉屋とでも言うべき所なのだ。店では動物だけでなく、生きた人間もその場で食肉にされていた。未知なるおぞけと背徳感に魅かれ、京子は一人で店に通うようになっていく。  欲求不満が解消されて生活に変化が現れ、職場の人から明るくなったと指摘される京子。小学生の頃から秘密を抱え、人を避ける癖がついていた彼女は、戸惑いながらも周囲との語らいを楽しんでいた。そんなある日、年下の男性社員から食事の誘いを受けた京子は、その意味もわからないまま約束をしてしまう。  約束の日、待ち合わせた飲食店で彼と会う京子。会話が思うように進まない中、彼は突然に京子に対し交際を求めてきて、京子は困惑する。その時、由美の姿が思い出され、 彼女への特別な感情に気づいた京子は、彼の申し出を断る。  由美と最後に会ってから二か月の後、京子は急に連絡を受け、週末に由美のもとを訪れる。一緒にいたいと言われた週末、土曜日を、京子は終日由美の部屋で過ごす。日曜は由美の言葉に従い、京子は一旦一人で回転肉屋を訪れる。しかし時間が経っても由美は来ない。開始される解体ショー。その夜に解体されるのは、由美だった。  食材として切り分けられていく由美。その肉を口にする京子はただ感涙にむせびながら、一体となる悦びを噛みしめていた。
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