episode1 紫煙の向こう

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心だけでも繋いでおいたらよかった。 身体は無理でも、心だけは。 言葉だけでも、お互いの気持ちを確かめ合っておけばよかった。 あの頃は、きっとお互いに同じ気持ちだった。 すれ違う前に、鎖をつけておいたらよかった。 そしたら、どこかに行ってしまう事なんてなかったのに。 いつも俺を待たずに消えてしまう彼女の真意をつかめなかった。 教師と生徒の立場と12歳の歳の差を乗り越えられるだけのモチベーションを保てなかった。 それなのに。 燃え上がりはしなかったくせに、彼女への想いは…仄かな光を放って燃え続ける炭火のように、ずっと…消えてもくれない。
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