「チャッピーがくれたもの」

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   えっ!? 僕はすぐさま振り返り、その盲導犬を見る。 チャッピーだ。一年前、盲導犬になる為に家を出たチャッピー。 家で、子犬の頃から大きくなるまでを一緒に過ごした。 ひとりっ子の僕にとっては、弟のようなかけがえのない存在になっていった。 いつか別れがくる事は知っていたけど、あんなに泣いたのは生まれて初めてだった。 尻尾の付け根の近くにある大きめの薄い茶色のブチ。 それがチャッピーのトレードマークだった。  本当に盲導犬になったんだね!!  チャッピー!すごいよ!!頑張ったね! 声をかける事は出来なかったけど、近くでチャッピーを見守っていた。 「よしっ、次だね、チャッピー」 男性がチャッピーに声をかける。 次の駅で降りるようだ。 電車が止まるとチャッピーはすくっと腰を上げた。
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