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 ジョージが意識をとり戻したのは、控え室にいく途中の担架(たんか)の上だった。びくびくと痙攣(けいれん)してから目を覚ますと、横につき添うタツオの顔を見あげてきた。 「ぼくは……どうだった?」  自分の敗戦はわかっているらしい。タツオにはカザンとの勝負より、ジョージの身体(からだ)のほうが心配だった。 「今はそんなことはいい。しばらく静かに休むんだ」  ジョージがタツオの手首をつかんだ。ほっそりしているのに意外なほど力が強い。 「ぼくの発勁(はっけい)はどうなったんだ? カザンの身体に届いたのか? タツオ、とても大切なことなんだ、教えてくれ」  ジョージの顔は腫(は)れ始めていた。左目はほとんどふさがりかけている。頬骨(ほおぼね)にも分厚いこぶができている。あまり興奮させないほうがいいだろう。頭部の急所に何発も重い正拳突きをくらったのだ。クニが慰めるようにいった。
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