止まらない想い

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コーヒーでも淹れに行ってる? そうじゃなければ、社食隣のリフレッシュルームか。 そう考えながら人気のない廊下を突き進んで。 「……ごめんな、宮野」 給湯室の前で聞こえた声に、私はピタッと足を止めた。 フウッと息をつきながら呟くのは、確かに鳴海の声。 だけど、なんだからしくない口調。 「お前、今日予定あっただろ? なんとか目途ついたし、今日はもう帰れよ」 「予定って言っても、実りがないってわかり切ってる合コンだしな。 ちゃんと最後まで付き合ってやるから、今度酒奢れよ」 鳴海に返す明るい声。 それは私も何度か一緒に仕事をしたことがある鳴海の同僚、宮野さんだった。 「ああ、覚えてたらな」 「保科に恩を売っておくっていうのもなかなかない機会だからなあ。 目途付いたって言っても、最終退行まで居座って、明日は早朝出勤しなきゃ間に合わないだろ? だったら俺が残ってた方が、少しは楽じゃん」 「……助かる」 どこか疲れたような鳴海の溜め息に、私はなんとなく俯いた。 話の流れからすると、どうやら鳴海の仕事に付き合って宮野さんが残業してるのはわかる。 最終退行まで残業して翌朝早朝出勤なんて、よほど切羽詰まった状況だとしか思えない。 突発的なトラブル対応とか。 なんにしても相当厄介なこと。 だって、こんなに疲れた鳴海の声を聞いたことがない。
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