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そうして始まったモジャモジャとのカレー作りは、僅かに残っていた俺の体力を全て掻っ攫っていった。
原因は、言わずもがな料理初体験のモジャモジャである。
「人参切るぞ!」
「っちょ、待て!まだヘタも落としてないのに立てて切ろうとすんな!」
野菜を切ろうとすれば、思わず青ざめるほど危険な切り方で自身の指を無くそうとし。
「野菜炒めるぞ!」
「ああ……って力を入れ過ぎだ馬鹿!今ので具の三分の一が吹っ飛んだぞ!?」
具材を炒めようとすれば、馬鹿力で大量の具材を吹っ飛ばし。
「ルウ入れるぞ!」
「分かった…っておい待て!ルウを全部入れようとする奴があるか!一パックでいい一パックで!」
ルウを投入しようとすれば、あろうことか箱に入ったルウを全て鍋にぶち込もうとする、もう調理を妨害しようとしているとしか思えないモジャモジャを何度台所から叩き出してやろうかと思ったことか……。
そうして奮闘(主に俺の)の末ようやく完成したカレーは、野菜の形こそ不恰好なものの、中々に美味しく出来たと思う。
「うおお!柳、凄いぞ!カレーだ!」
初めて自分で作った料理にテンションが最高潮に達したモジャモジャは、先程から鍋の中を覗き込では延々とカレーだカレーだと騒ぎ続けている。そりゃカレーを作ったんだから、カレーなのは当たり前だ。むしろカレーでないと困る。
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