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カレーを見て大はしゃぎしているモジャモジャを横目に、放置していたライスパックをレンジで温める。温めている間に、リビングにいる三人を呼びに行った。
「もうすぐご飯出来るぞー」
「よっしゃあ!風宮君、教えてくれてサンキューwww」
嬉しそうにシャーペンを机の上に放り投げる蓮。礼を言われた風宮君も、肩の力を抜いて大きく伸びをした。
「なんとか理解してくれたみたいでよかったよ。ほら綾君、一旦終わろう?水瀬と柳君のご飯が出来たみたいだよ」
「漢字が頭の中にこびり付いて取れねぇ……」
頭を押さえ、そう呻く狗鳴君の顔色は悪い。どれだけ漢字が苦手なんだ……。
テーブルを片しておくようにと伝えて台所へと戻る。未だにカレーを見続けているモジャモジャに呆れながらも、俺は食器棚から人数分の食器を取り出した。
ーーーーーチン
と、その時丁度レンジが鳴った。折角だし、暇そうなモジャモジャに出すのを頼むことにしよう。あいつ仕事という仕事、全くしていないからな。
「狭山ー、レンジからライスパック出してくれ」
「分かった!」
漸くカレーから離れたモジャモジャが、両手にミトンを嵌めて熱々のライスパックを取り出す。
一気に運ぼうとしたのか、人数分より少し多い七つのライスパックをひょいひょいとミトンを嵌めた手で抱えていく。しかし無理して七つも積んだ上に、ミトンがモコモコしているのも相まってかなり不安定な様子だった。
「おい馬鹿!そんなに一気に持ったら」
「あっーーーーー!」
慌てて注意しようとするも一歩遅い。俺が言い終わらない内に、モジャモジャの手に抱えられたライスパックの山がグラッとバランスを崩した。
「くそっ!言わんこっちゃねえ!」
悪態をつきながらも、割れないようにそっと食器をシンクに置いてモジャモジャに駆け寄る。
「ちょ、ちょっ!あ、へっ!?」
俺は緊急事態に焦るモジャモジャを片手で包むようにして抱きしめると、崩れかけたライスパックの山を、俺とモジャモジャの間で挟むようにして支えた。素早くまだ不安定だったライスパックに空いていた左手を添える。ふぅ……なんとかなった、か?
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