1.青春群青色

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夕日のさす静かな放課後。 「…ふふ緊張してる?そう固くならないで」 茜色に染められた誰もいない空き教室。 下校時刻はとうに過ぎている。この部屋には、俺と目の前の彼女以外、誰もいない。 「大丈夫。俺に任せて」 震える彼女の肩を抱き寄せ、艶やかな髪に指を滑らす。彼女の体から少し力が抜けるのがわかった。 …あと少し。もう一押し、だ。 …コツコツコツコツ どこか遠くで靴音が聞こえる。 「さぁ、目を閉じて…そう、上手だ」 …コツコツコツコツコツコツ 靴音が近づいてくる。 目を閉じた彼女の耳元で囁く。 「優しくするよ…」 顔を傾けて、彼女に近づけた。 …コツコツコツコツ、 足音が止まった。この教室の前で。 そして。 ガラッ 勢いよく引き戸を開ける音。なんのためらいもないその音が、部屋にただよっていたピンクなムードを蹴散らした。 俺は彼女の顔に手を添えたままで静止し、扉の方を振り返った。 「…またお前か」 呆れたようにこぼしたのは、俺だったかアイツだったか。 とりあえず彼女の表情を窺えば、放心状態のそれだった。 「不純異性交遊」 教室の前に立ったまま、ヤツー神原祐史(カンバラユウジ)が呟いた。
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