心の奥、見えない気持ち #2

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玄関から出ようとしていたその人は 彼によく似た白髪の男性で、 その人の視線がこちらに向いた瞬間、 震えた心臓が大きく音を立て始めた。 彼と、その後ろに居る私とに 交互に視線が移り、 「…朔…、  その…お嬢さんは?」 跳ねる心音に混じって声が届いた時、 「その質問は…野暮でしょう 」 ふっと小さな笑みを浮かべた彼は 私の背を押して前へと足を進めた。 (――――え…っ ) 咄嗟に横顔を見上げるけれど、 彼は何でもない風に私を連れて脇を通り過ぎる。 大きく目を開いた二人が視界の端に映り、 一層心臓が音を立てた。 その時、 「 履いて 」 すぐ傍で聞こえた声に咄嗟に前を向き直ると、 視界の真ん中に差し出された手が映る。
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