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(………その態度、)
開き直りなのか何なのか
(…やっぱりアヤはアヤだな )
内心息をつくと、
俺は視線を先にして歩き出した。
富士川さんは俺がワインが好きだから
ここを選んでくれたんだろうし、
少し飲んでそこに泊まればいい
そう思いつつホテルを見上げた。
だけどふと、
前に富士川さんが話していた事が頭を掠めて、
(そのワインバーって、確か――――)
少しずつ足取りが重くなった時、
止まっていたヒールの音が近付いて、
「…そのお店、知ってるの?」
ここで別れると思ったのに
アヤは隣に並び、いつもの口調で尋ねた。
(――――――――――――)
「…さっき二人が話してたイタリアンの店、
そこが出したワインバーだって、聞いてる」
少し視線を外しながら、静かに呟く。
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