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人形との隙間から抜け出てきた怜奈は
込み上げる笑いを押し殺していて、
「あはは、テレビで見た通りだったよ
けど人形に迫られてもちょっと怖いかも」
そんな感想を言いながら俺の腕を引いた。
「やっぱり人形じゃなく本物にされたいな、
朔、一度し……」
その言葉を遮るように冷えた視線を向ける。
「本当だ、
人形よりこの人にされたいよね」
「あーそれ!
リアルにキュン来そう」
列を成す女の小声を振り切るように
俺は無言で席へと戻った。
「日本ってすごいよね
帰る度に意外なのが流行ってる」
言いながらケーキを食べ始める怜奈から視線を外すと、
こちらを窺う女たちと目が合う。
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