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父は帰れと言ったけれど、
本当は会社に戻るつもりだった。
だけど何も手に付きそうになくて、
一旦思考を切り替えようと自宅へと車を走らせる。
信号で止まる度に、
ローツに向かおうと気が急いた。
だけど、もし会ったとして
富士川さんの元に向かうと知れば…
俺がその場でどんな行動を取るのか、
自分でも予測がつかなかった。
落ち着こうと戻った部屋は静まり返っていて、
ざわめく胸中を更に浮き彫りにさせる。
「…………………」
上着を脱いでソファーの背に放ると、
シャワーを浴びてベッドに腰を掛けた。
手の甲を押し当て、そのまま後ろに倒れ込む。
…どこまで話が進んでいるんだろう
二人は結婚の意思を伝えるような、
そんな深い関係だった?
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