a sequel

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だから僕は皆の願いを叶える為に、 「なぁ、ハル」 「? なに?」 夕食後、一緒に並んで皿洗いをしているハルにそれを訊ねた。 「ハルが昔住んでた家の、電話番号を教えてほしいんだ」 ハルは目を丸くして、皿を拭いている手を止めて僕を見上げた。 不安と戸惑いが混ざった瞳は、どうしてと言わんばかりに僕を見つめて声なく訴えてくる。 「何もしないよ。嫌なことは言わないし喧嘩もしない。だけど大事な話をしたいんだ」 そんなハルを安心させるように笑いかけ、だけど冗談でこんなこと言っているのではないのだと、僕は真剣な口調で続けた。 「教えてくれる?」 「……っ」 ハルは言葉を詰まらせ、俯く。 皿を握る指先は、微かに震えていた。 「……おれ」 そして僕を窺うように見上げ、ひどく震えた声色で訊ねてきた。 「おれ…。家に帰らないといけないの…?」 「違う。そんなことしない」 今にも泣き出しそうな表情を見せるハルを見て、僕はまだ少し濡れた手でハルを抱き締めた。 「そんなこと依月さんも僕もするわけないじゃないか。真逆だよ、ハルとずっと一緒にいたいからだよ」 「とうや…っ」 「その為の話を、僕たちはハルの両親にするんだ。胸を張ってハルと一緒にいられるように。分かってくれる?」 「……っ」
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