Last*眠り姫のひみつごと。-2-2

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「真幸くん!真幸くん、やだぁ!起きて!」 手が震えて、早く目を覚ましてほしくて、思わず体を揺すりそうになる。 「揺らしちゃ駄目。大丈夫だから。気がつくまで名前呼んで」 この場に、先生がいてくれなかったら、間違った対処をしていたと思う。 真幸くんは、あたしをかばって、こんな……。 あたしのせいで……。 手のひらのハンカチに、血が滲んでくる。 こんなにいっぱい、頭から……。 このまま、止まらなかったらどうなるの? 最悪の事態を想像して、全身がガタガタ震える。 「真幸くん!真幸くん!やだ!」 誕生日なのに。 まだ言ってないのに。 おめでとうって……。 聞いてくれなきゃやだ。 「落ち着いて」 先生が、何度も背中を叩く。 「だ、だって……、血……、血が……、いっぱい……」 「頭には、血管がいっぱいあるから、傷が浅くてもその分血も出るの。それだけなの」 「ほ、ほんと……?」 その言葉で、少し落ち着く。 深呼吸して、真幸くんの胸に手を当てる。 ――とくん、とくん。 ……音が、聞こえる。 生きてる、動いてる、……音。 「真幸くん……!」 まぶたが、微かに動いた気がした。 胸を触るあたしの手に、ゆっくりと大きな手が重なる。 動いた。 気がついた? あたしは手を握り返して、何度も名前を呼んだ。
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