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明日奈さんは、恐る恐るあたしを見て、腰を曲げた。
「ごめんなさい……」
それを聞いて、「いいよ」なんて、すぐ許すことは出来ない。
すぐに治るだけの怪我で済んだから良かったものの、……あのまま目を覚まさなかったらどうしようかと思った。
怖かった。
もう、笑顔が戻らないのかと思ってしまった。
「二度としないで。あたしには言わなくていい。真幸くんに謝って」
「はい……」
明日奈さんは、鼻をすすりながら、今度は真幸くんに向かって頭を下げた。
「ごめんなさい、真幸……」
真幸くんは、その謝罪には答えず、
「明日奈、俺はお前のこと、好きにはなんないよ」
「っ……!」
それを言われ、明日奈さんは一度ビクッと反応して、それから頭を上げない。
「こういうことするなら、迷惑だから」
真幸くんの声でそんな言葉を聞くと、あたしまで胸が痛くなる。
真幸くんまで、苦しい顔してる。
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