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Last*眠り姫のひみつごと。-2-2 #2
案内された病室に、ひとりで入る。
個室だから、本当にふたりきり。
ベッドに近づく。
……真幸くんだ。
ここに、いる。
傷がある場所にはガーゼが当てられていて、帽子のように頭に白いネットをかぶっている。
血が出たんだもんね。
部活はすぐに出来るのかな……。
元通り、グラウンドを元気に走れるようになってほしい。
あたしは、それを見ていたいから。
口の上に手をかざしてみる。
やわらかな呼吸を感じる。
「っ……ふ……」
また涙が出てきた。
誰も見てないから、いいよね……。
「よかった……、真幸くん……、よかった……」
風邪を引いていたときよりも、ちょっと元気そうな寝顔。
「痛くない?ごめんね」
ネットの上から、そっと触れてみる。
あったかい。
生きてる温度。
「ありがとう……」
“誕生日おめでとう”は、起きてから。
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