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どんな夢を見てるの?
あたしみたいに、出会った頃の夢を見ていたら……なんて、都合のいい妄想をする。
夢の中でキスをされたんだと思ったら、現実でも同じことをしていたらしい。
あたしは、寝てたからよく分からなかったけれど。
あたしには、夢ですらドキドキさせるくせに。
そんな気も知らないで、真幸くんは気持ち良さそうに眠っている。
――ねぇ、眠り姫は、もうキスで目覚めてるよ。
あたしは、ベッドに両手を乗せて、真幸くんの顔を上から覗きこむ。
「王子……さま?」
自分が口に出した言葉に恥ずかしくなって、誰も見てないのに手で顔を隠す。
妄想にも程がある。
何を言ってるんだか。
誰かに聞かれてなくてよかった。
早く起きて。
あたしは、腰を曲げて、顔を真幸くんの顔に近づける。
そっと、唇にキスを落とした。
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