夢倉 雪也

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 かび臭い座敷牢。  冬野はよくこんなところに長々と居られるものだ。  牢の鍵は常に開いているのに冬野は俺が迎えに行くまで決して自分からは出て来ない。じめじめとした畳の上に行儀よく正座をしながら書見をしている冬野に「おい」と声をかけた。 「学校へ行く時間だ」  そう言うと、冬野は「にやぁ」と唇を歪ませ、文机に書物を直した。
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