01...退廃【Side:山端逸樹】

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 俺にとってゴムは必需品だ。  誰かと交わることは嫌いじゃないけれど、直にするのには抵抗がある。  どんなに深く身体を繋げても、薄皮一枚で隔絶されている状態。そのぐらいの距離が心地よいと感じる俺は、やっぱり問題ありなんだろうな。  そんなことを思いながら激しくグラインドを繰り返す俺の下で、大人の男と呼ぶには未熟な身体が揺れる。  指が白くなるぐらいシーツを握り締めたその姿に、俺は酷く興奮した。  初めてだったんだろう。挿れた瞬間ひきつったような声を上げた彼に、俺は気付いていて知らん振りをした。  数ヶ月前から通い始めたジムで出会った男。  十代後半ぐらいの幼さの残る彼を、欲求不満解消のためだけにホテルへ連れ込んだ。  彼が、いつも俺のことを見ているのは知っていたから。羨望の眼差しで俺を見詰める彼が、誘えば断らないと計算ずくで声をかけたのだ。  甘い囁きも、優しい愛撫も、キスさえも、俺には無縁のしろものだ。  出したいから抱く。  相手は誰でも構わない。  それこそ、今回のように女じゃなくっても一向に気にしない。  酷いヤツだと自分でも思うけれど、こういう性分なんだから仕方ない。  一夜限りのこの逢瀬が終われば二度と会うつもりはない。  後腐れのない関係が一番望ましいからだ。 (始めたばかりのジムだけど、解約しなくちゃな)  そんなことを思いながら、俺は袋の中に欲望を吐き出した。
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