第1章 君は嘘だらけだ

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楓太「受け取れん!それは夜に差し出されたものだ。だから手紙を読んで明日に備えよ」 何故明日に備えなければならないのだ? まだ開いてすらいないというのに・・ その場で封を開け手紙を読む。 深淵 夜君へ 私は3年D組の鈴中 桃華(すずなか ももか)です。 伝えたいことがあるので明日の放課後に屋上に来てください。 期待して待ってます。 桃華より 手紙を閉じ楓太に差し出す。 夜「楓太宛てのだった、済まない一通り読んでしまった」 しかし、隣でチラッと見ていた楓太は決して受け取ろうとはしなかった。 何故人の女を横取りせねばならんのだ? 俺は自分で告白する、人の女を横流しなんてありえない。 楓太「全く、夜、分かってんのか?相手は学年で最も可愛いと称号を持っている桃華ちゃんだぞ!俺だったら明日まで待てない、今からでも押しかけるぞ」 三度、無言で差し出す。 そんなに好きなら代わりに行ってくれと無言で、瞳で語る。 一瞬、誘惑に負けそうになったが何とか堪えた。 夜「できれば行きたい、夜が興味ないんだったら行ってもいいんじゃないのか?友達を救うことになるんじゃないのか?どうする俺!」 楓太の表情が強張る。 楓太「読むなよ、恥ずかしいだろ。これはプライバシーの侵害に値する。だから罰金200円だ」 中学生には大金である。 バイトのできない中学生はお小遣いだけで、生きていかなければならないのだから。 ましてや孤児院の夜には死活問題なのかもしれない。 しかし夜は何のためらいもなく金を差し出した。 これが夜の恐ろしい所だ。 友達と思ってはいるがどこかでこいつは俺を牽制している。 虐められてきたのは知ってるけど、いつも無傷だ。 普通なら耐えきれなくなって登校拒否とかしてもおかしくないのに・・ 面倒事に巻き込まれる前に相手の望むものを差し出す、それが夜のやり方だ。 前に1度、夜が目障りだといちゃもんをつけ3対1で暴力行為をしていた奴がいた。 しかし、夜は1発も浴びることなくその場を立ち去っていた。 その後、話を聞いたら、拳を飛んでくるところが分かれば避けるのは簡単、それにあいつら単純だから集中する必要もなかったよ。
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