第2章

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 ・・・俺はドラマの見すぎか。  ふと我に帰ると、こそこそ聞こえない会話に必死に聞き耳をたてている自分が滑稽に思えてきた。ツーブロックはともかくとして、有馬はただ知り合いに似ているといっただけだ。  一人ミステリー劇場を脳内で繰り広げている間にツーブロックも有馬もいなくなっていた。  とんだ無駄足だ。  俺はため息をつくと、もう始まってしまった午後の授業を受けに回れ右をする。 「うわっ」  おもわず叫んでしまった。  わざわざ見つからないように隠れていたのに、すぐ目の前にツーブロックがつったっていた。 「こんな所で何をしている」  俺が隠れていたことは火を見るより明らかだ。それをわざわざ聞いてくるツーブロック。 「た、立ちくらみなんかを少々。ちょっと休んでました」  しょうもない嘘をつく俺。  だって、ツーブロックの顔が怖いんですもの。 「今の会話聞いていたか?」  いきなり本題。 「いえ、聞こえませんでした」  マジで。 「そうか」  意外にもそれだけ言って、ツーブロックは立ち去ろうとした。 「ちょっ、待てよ」  あ、無意識キムタクのセリフ吐いてしまった。ちょっぴり恥ずかしい。  じゃなくて、どうせ見つかったのなら、気になっていた親父の事を聞いてスッキリしてしまいたい。歯に挟まったものは当の本人に取り除いてもらいましょう。
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