第2章

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 柔らかい何かが唇を覆っている。下唇を舌でなぞられる。その刺激のせいでわずか空いた口へ強引にそれが割入ってきた。更に口を開けさせる為なのか、後頭部も壁へと押さえられる。 「んぐっ」  上あごを舌で往復させられ、くすぐったさの中に違う何かを感じて俺は少し恐怖を覚えた。  こりゃぁ、まずい。何だ、この状況は。どうしたら、いいんだ。  混乱する頭の中で、足を思い出す。自由な足でやつの金魂を蹴りあげようとしたところで、すっと押さえつけられていた体が開放された。 「げほっ、げほっ」  急に入ってきた空気にむせる。押さえつけられていたせいか、体に力が入らず、そのまま壁に背を預けたまましゃがみこんだ。 「これでも俺に近づけるようなら、球技大会の後に教えてやる」 「てめっ、今教えろっ」  ツーブロックは俺の事を無視し、立ち去った。  あ、メガネ。と思ったら胸ポケットがカシャッっと音を立てる。メガネはきちんと返してくれたのね。マスクが無いけど。メガネが無いと落ち着かない、というか見えないので、すぐさまメガネを装着した。    俺には関係ないことだと思っていたのに、こんなに早くも男からキスをされるという人生経験を味合う羽目になってしまうとは。しかも、ベロチュー。こんな大人の登り方嫌です。  しかも、俺の精神すり減っただけで、何の収穫も得られず、結局歯に挟まったままだ。  男にベロチューされたという衝撃から抜け出せずに、しばらくそのまま動けずにいた。  やっと、立ち上がった時には既に午後の授業はほぼ終わりそうだったので、そのままサボる事にする。
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