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駅が見えてきたら、急にお腹が空いてきた気がする。 あぁ、どこかでモーニングでも食べてから帰ろう。 「おいっ、待てって!」 待てと言われて待つぐらいなら置いていかない。 だから待ちません。 課長の足音が近付いて、手を握られた。 でも、私の機嫌は直らない。 握られた手を振り払ってみた。 「なー、それ、嫉妬?」 振り払ったはずの手をまた握られる。 そして、チラッと見上げた課長の顔はすこぶるご機嫌そうで、それもまた気に入らない。 「ふんっ、かーわいー」 ……そんな言葉に絆されてなるものか。 「それとも、俺がみゅーの想像を笑ったから怒ったの? ミラーボールと回転するベッド!」 課長が笑い出した……。 「プールもなかったし、コスプレの服もなかった。それに、木馬もなかったし、自動販売機もなかったじゃん!」 「ぶはははははっ。どこで覚えてきたんだよ、それ!」 「……女子会」 「ぶはっ。おもしれー! お前の友達、おもしれーやつばっかだなっ!」 そうだよ、私の友達は確かにちょっと面白い人ばっかりだよ。 私なんて一般的な小市民でつまんない人間だもん。 「類は友を呼ぶってやつだ、お前があったまおかしいからっ!」 ナヌ!? 私の頭はおかしくない。 むしろ課長の頭の方がイカレポンチだ。 いやいや、課長の頭がイカレポンチで類は友を呼ぶんだったら、私もやっぱりイカレポンチ!? オーマイガー!!! 私は小市民のはずなのに…… 課長と付き合ったばかりにイカレポンチ街道をまっしぐら…… 「腹が減った。モーニングでも食うか」 「ですね」 ニッコリ笑った課長の顔に、つい私も笑い返してしまう。 さっきまでイカレポンチだと思っていた相手なのに。 でも、まぁ、朝から二人でモーニングとか。 幸せだと思ったんだからいいや。
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