第4話 カタメの世界 3

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※ 『クマグロ水産』の事件から、一週間経った。 その間、杉田は家に着替えに戻るしか出来なかった。 世間では、事件と、『カタメ』という宗教団体のニュースで持ちきりだ。 肝心の人物が、見つからないまま。 「……今、こんな事してて、いいんでしょうか」 「いいの、いいの。あ、皮まだあるから、具は少な目で」 そう言って、松波は手の中の生地を器用にふたつに折っていく。 「出前とコンビニじゃ、力出ないでしょ」 「はい」と答え、杉田は餃子作りに集中する。 日が暮れた頃、四係で資料に埋もれていたのを、松波に連れ出された。
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