第5話 カミサマはいない

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※ 午後二時過ぎ、南改札口と違い、地下鉄梅田駅の北改札口は静かだった。 自動改札機を通り、リリコはホームに降りる。 高い天井のせいか、地下に居るのに、圧迫を感じない。 電車の来るアナウンスが流れ、髪の毛が風に揺れた。 伸ばしても意味は無かった。 肩を越しそうな長さを、耳に掛ける。 ……こういう時は、必ず、余計な事を考えてしまう。 そう思った時、到着した電車の扉が開き、人が降りてくる。 時間通りなのを腕時計で確認し、リリコは電車に乗った。 最後尾の車両には、ひとりだけ残っている。 向かいに座ると、扉が閉まり、電車は動き出した。 「初めまして、要星さん。梅林寺凛々子です」
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