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おやすみの言葉は、名前こそ呼ばれなかったけど、なんだか、さっきの田所さんのそれに上書きされているよう。
名残惜しくて、わずかに返事がゆっくりになる。
こちらを向いたまま、数歩後ろに歩みを進めた優輝さんは、軽く右手を挙げて微笑みを残した。
そして、そのまま、今来た道を戻りはじめた。
その背中を、そっと見つめる。
「はぁーーーっ」
優輝さんの背中が、声の届かないところまで離れると、自然と大きなため息が零れ落ちた。
今日は、なんて一日だったんだろう。
まるで、ジェットコースターにでも乗っていたかのような、緊張と気持ちの起伏に振り回された。
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