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職場では仕事に没頭し、退社と同時に母親の顔になる。
保育園へ引き取りに行くと、愛美は私の顔を見た途端に両手をこちらへ伸ばす。
その姿がかわいくてたまらなかった。
私が抱きしめると愛美は必死でしがみつく。
私の胸に顔を埋めて絶対に離れまいとする。
そんな愛美を見るたびに、産んで良かったと実感した。
生まれてきてくれてありがとう、と思うのだ。
◆ ◆ ◆
真子から電話があったのは10月下旬の土曜日だった。
そのとき私はアパートの部屋で、前日から来ていた母と愛美の三人で夕飯を食べていた。
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