第1章

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「ぼくは王子なんだよ、だからえらいんだ」 「は、はい。今日も天気がいいですね、王子。外に出てみてはいかがですか?」 「いやだ。今日は城内でバカラをする」 「そうですか、私は失礼します」 そう言って執事はぼくの前から姿を消した。 「ふぅ」 執事のやつは気だるいったらありゃしない。 ディーラーとポーカーでもしようかな。 鼻を一度ならしてみる。 高級感漂う花の香りでぼくの鼻腔は心地よくなった。 いつでもぼくに望んだものを執事が運んでくる。 いつも辺りには、僕のお気に入りの焼き菓子が置いてある。 いつでも僕の室内はプラネタリウムになる。 それとコーヒーでぼくはいつも一服する。 その時に、ぜったいに壁にかけられた鏡をみてポーズする。 「ぼくってかっこいいな」 ナルシシズムかもしれない。 でもそれがぼくにとっては最高の最高で、 口内に含まれる、僕のコーヒーと焼き菓子が 不思議と踊っていた。 「うん、すばらしい。外に出るなんて間違ってる」 窓辺に立たなくとも花々が僕をいつも囲んでいるじゃないか。 室内にいるのに、外が見えるようにぼくは室内を改造したんだ。 ぼくって天才だろ? ふふ……知ってるよ。 だからでる必要なんてない。当たり前だよね。 「王子、ご飯ですよ」 もう、そんな時間か。 「置いといて」 執事には、いつも扉の前に置くように頼んでいる。 あいつとはできれば、顔を合わせたくない。 「はい、今日は美味しいので作りました」 「美味しいのだって」やったー! ぼくは心の中で小躍りをしながらも 執事がでるのを待って、出たが 御飯を食べようと外を出た所で 僕の視界は暗くなった。 ずっとずっと暗いまま。
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