1章 逆金払い

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ATMにキャッシュカードを入れると 残高がモニターに表示された。 900,000,030円 緒方尚人は頭を抱えた。 「9億と30円か、車も買っちまったしな」 どれどれと、横から覗き込んだ陣内美羽は 浮かぬ顔でモニターに表示された金額を 派手にネイルされた指先でトントン叩いて尚人に言った。 「なによこれ、増えてるじゃない」 「あーだから、車を買ったと言ってるだろ」 「もうーどうすんのよ」 「明日からバイトでもするさ」 「どこで?」 「コンビニか居酒屋」 「そんな所で働いたって逆料しれてるわよ」 「だよなぁ時給1200円だもんな」 「これ以上お金が貯まったら死刑になるのわかってんの?」 「そう言うてめぇは、どうなんだよ」 「私は、わたしよ」 惚ける美羽のイタリア製バッグを引ったくって 美羽の通帳を取り出すと残高を確認した尚人。 「てめぇ10億まであと二百万しかねぇぞ」 「わかってる」 「このままじゃ来月辺り死刑だぞ、どーすんだ?」 「煩いわね。明日から私も働くつもり」
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