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放たれたのは風鈴のように澄んだ声音。
綺麗な声色のはずなのだが、口調は乱暴しい。
ほうけているレドを他所に、女性の冒険者はその場を駆けた。
(速いッ!)
思わず心の中で叫んでしまうほど、彼女の動きは速かった。
トップスピードのレドと同等。
いやそれ以上か。
女性の冒険者は、紅髪を靡かせモンスターに迫りかかる。
あまりの速さに対応できないモンスターに、その細剣を突き刺した。
(一回じゃない......三、四。一度の攻撃で何度も剣を振ってる!)
レドが認識出来たのは四回まで。
もしかしたら、それ以上かもしれない。
とにかく速いということだけは分かった。
女性の冒険者は縦横無尽に広場を駆け回る。
走り様、モンスター達を片っ端から屠っていった。
蹂躙。
紅髮の彼女は、この場にいるモンスターを蹴散らしていった。
「……すげぇ」
見惚れた。戦慄した。
その戦い様に。その凄まじさに。
そして……。
「これで終わりね」
あれだけいたモンスターが、あっという間に全滅してしまった。
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